帝国データバンクによると、現状では老人福祉関連の市場が大きくなる中で競争が激しくなっており、販売不振や人手不足で倒産する小規模事業者が多いという。

「今後、都市部では富裕層を対象にした事業が成り立つ一方で、地方などで地元住民を対象にした施設はもうからないとして、事業から撤退するところが増える可能性がある。特に若者が流出する地方では働き手が確保できず、事業が成り立たなくなることもあり得る」(東京支社情報部の担当者)

人口減少の影響は百貨店も直撃している。日本百貨店協会によると、百貨店の売上高のピークは1991年で約9兆7千億円だったが、18年は約5兆8千億円まで落ち込んでいる。人口減少に加えて、郊外に大規模なショッピングセンターができたり、アマゾンなどのネット通販も充実してきたりするなど競争が激しくなっている。

「地方中核都市の百貨店が撤退する流れが強まっている」

 こう語るのは、東京商工リサーチ情報本部情報部課長の増田和史さん。

 全国の主要百貨店78社の売上高の合計は2年連続で減収となっており、特に地方に拠点を置く百貨店35社のうち4割が赤字。厳しい経営にあるという。

 旭川市(北海道)では人口が33万人から26万人に、青森市では28万人から20万人に、盛岡市は29万人から25万人に大きく減少することが見込まれており、今後、百貨店が撤退する可能性が高まっている【表6】。

【表6】百貨店
都道府県 市区町村     総人口
            2015年/2040年
北海道  旭川市    339,605/266,997
青森県  青森市    287,648/202,508
岩手県  盛岡市    297,631/256,886
秋田県  秋田市    315,814/244,726
神奈川県 横浜市戸塚区 275,283/250,481
新潟県  長岡市    275,133/221,647
三重県  津市     279,886/237,408
兵庫県  明石市    293,409/269,525

「全国展開する大手百貨店は地方中核都市にある百貨店を閉め、外国人観光客による需要が見込める都心に経営資源を集中させる動きを強めている。他方で地域に密着した地方の百貨店は収益改善を図る方策は少なく、厳しい経営環境に直面している。地域の中心地が空洞化していく恐れがある」(増田さん)

 一方、百貨店の経営を脅かすショッピングセンターも例外ではない。

 小樽市(北海道)、桐生市(群馬県)、加須市(埼玉県)、河内長野市、門真市(いずれも大阪府)など、人口10万人を超える自治体でも、撤退の可能性がある【表7】。

【表7】ショッピングセンター
都道府県 市区町村    総人口
           2015年/2040年
北海道  小樽市   121,924/69,422
宮城県  登米市   81,959/57,440
秋田県  由利本荘市 79,927/51,506
山形県  米沢市   85,953/62,875
茨城県  龍ケ崎市  78,342/60,280
栃木県  日光市   83,386/51,402
群馬県  桐生市   114,714/74,771
埼玉県  加須市   112,229/86,317
千葉県  四街道市  89,245/84,960
富山県  射水市   92,308/76,544
福井県  坂井市   90,280/75,536
岐阜県  高山市   89,182/67,419
静岡県  御殿場市  88,078/76,191
愛知県  江南市   98,359/81,384
滋賀県  近江八幡市 81,312/72,068
京都府  亀岡市   89,479/66,397
大阪府  河内長野市 106,987/72,250
     門真市   123,576/79,546
兵庫県  高砂市   91,030/69,528
広島県  三原市   96,194/71,670
愛媛県  四国中央市 87,413/68,318

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