続いて油の摂り方について。最近では、スーパーにもさまざまな種類の油が並んでいる。「体にいい油」を求める人が多い証拠だ。

 脂質は、体の細胞を包む細胞膜の主要な構成要素で、エネルギー源ともなり、ビタミンAやDなどの吸収を助けるなど3大栄養素の一つだ。調理で食べ物をおいしくしたり、食べやすくしたりもする。

「油そのものが体に悪いというものではなく、摂りすぎが問題になっているのです」(タイゾーさん)

 体内でエネルギーとして使い切れなかった脂質は中性脂肪として貯蔵される。脂質の摂りすぎは肥満、高脂血症、高血圧などのリスクが高くなるともされる。

 まずは、1日で摂るべき目安を知っておこう。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2015年版)で、エネルギー比率で見た理想的な栄養素バランスは脂質が20~30%。そのほか、炭水化物50~65%、タンパク質13~20%だ。70歳以上の男性で、平均的な活動量の場合、総エネルギー摂取量は2200キロカロリーで、そのうち440~660キロカロリーを脂質が占めるのが理想だ。

 この範囲内で具体的にどんな油を摂るべきなのか。まずは、油の種類の基本をおさえておこう。脂質の主成分は中性脂肪で、大部分が脂肪酸。脂肪酸には炭素の結合方法により飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、不飽和脂肪酸は一価と多価に分かれる。

 意識的に摂っていく油として、タイゾーさんは多価不飽和脂肪酸のn‐3系(オメガ3)を挙げる。体内で合成されず、食事で摂取する必要のある必須脂肪酸で、普段の食事では摂取量が少ないという。動脈硬化の予防やアレルギーを抑える効果もある。

 オメガ3を含有するのは、サバやアジといった青魚だ。現代人の魚離れを指摘する池上さんは「1日3食のうち1食で魚を摂って。それで十分な量になる」と話している。

 オメガ3について、高下さんも「魚を食べるのが一番いい」と話す。血液がサラサラになり、認知症の予防にもつながるという。調理法としては生で食べられる刺し身が一番で、その次に煮魚。焼き魚よりも煮魚がおすすめという。オメガ3は熱すると酸化してしまい、焼き魚では表面が酸化するが、煮魚ならあまり影響ないとされる。また、魚油の流出を抑えるため、焼き魚にするなら小麦粉をまぶすとよく、煮魚なら煮汁も食べることができる。

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