「人生100年時代」は長く生きる分、お金がかかるリスクを抱えている。収入が目減りするにもかかわらず、支出の負担が増すばかりだ。家計の「破綻(はたん)」を防ぐには、どのような心構えでいればいいのか。
支出面では負担増が目白押しだ。
医療では高所得者が狙われている。70歳以上の高齢者の高額療養費の制度が昨年夏、厳しくなり、「現役並み所得」の区分が三つにわかれた。所得が上がるほど自己負担の額は高くなっていく。
とりわけ介護と医療の合算療養費では、課税所得が690万円以上だと自己負担が212万円の基準を超えない限り、高額療養費の制度が適用されなくなった。それまでの基準の3倍以上の高さだ。
介護では保険料の値上がりが続いている。全国平均の数字で見ても07年度に月4090円だったのが17年度は5514円。この先、団塊の世代が後期高齢者になることなどから、25年度には8165円まで上がると推計されている。
医療・介護の負担については、FPの伊藤洋史さんの指摘が重い。
「年金収入が月15万円程度で、東京で賃貸住宅に一人暮らしする高齢者の家計で見ると、後期高齢者医療制度の保険料と介護保険料を支払った後の可処分所得は、単身の生活保護の基準額より月に1万5千円程度高いだけです。大きい病気をしたり、要介護2以上になったりして、医療・介護サービスの自己負担額を払うと、生活保護基準と逆転してしまうケースさえあります」
税金では消費税がどこまで上がるかが焦点。先月発表された経済協力開発機構(OECD)の提言は、十分に財政健全化を進めるには20~26%への引き上げが必要とする。公的年金等控除の引き下げといった、実質的な増税があるかどうかも気になるところだ。
収入は目減りして、支出はさらに増えていく──これらが同時多発的に起こるのだから、たまらない。
家計コンサルタントの八ツ井慶子さんによると、これから起こることは「第二の家計大変貌(へんぼう)」だという。