だが、これらの方法は、転居する必要があり、長年住み慣れた「わが家」に愛着がある場合は、二の足を踏んでしまう。これに対し、「リバースモーゲージ」や「リースバック」は、住み慣れた「わが家」に住み続けながら、老後資金も捻出できるとあって、関心が高まっているようだ。
「リバースモーゲージ」は、まとまった金額を借りて利息を払いながら、家に住み続けられる仕組み。商品は大きく分けて2種類ある。「リ・バース60」など住宅金融支援機構が銀行を通して提供しているものと、「充実人生」を展開する東京スター銀行など民間金融機関が提供している商品だ。「リ・バース60」は、住宅取得などの際に資金を必要とする60歳以上の人を対象にした融資。毎月の支払いは利息のみで、元金は死亡したときに、相続人が一括して返済するか、担保物件(住宅および土地)の売却で一括して返済する。機構は民間金融機関がこの商品を販売する際に、住宅融資保険を付与することでサポートする。
元金を繰り上げ返済して完済する選択肢もある。家を買い替えるときに、新居を担保にリバースモーゲージで購入資金を取得し、住んでいた家を売って繰り上げ返済することも可能だ。
リ・バース60とその他の商品の違いは、リ・バース60は資金の使途が自宅の建て替えや住宅ローンの借り換えなど、住宅に関する使い道に限定されていることだ。17年度には担保価値が融資額を下回っても、相続人の返済義務が生じない「ノンリコース型」を創設し、使い勝手を高めている。一方の金融機関も、住宅金融支援機構が提供する「住宅融資保険」を利用することで、リバースモーゲージ特有の担保価値下落のリスクを回避することができ、都市部などの担保価値が高額な住宅に限定されることなく、幅広くリバースモーゲージ型住宅ローンを提供することができるという。住宅金融支援機構によると、金融機関からのニーズを踏まえた商品改善などを積み重ね、17年度の取り扱い金融機関が38機関(前年度は23機関)にまで拡大し、申請件数は174件(同39件)と急速に拡大している。