大学入学共通テストが2020年度から始まる。これまでとどう変わるのか──高校生や学校関係者の間で不安が広がる中、予備校では講習や模試などで対策を示している。河合塾の類題をもとに、国語、英語、数学の主要3教科の新テストの傾向を探ってみる。
【新テストの傾向は?河合塾による類題(英語、数学)がこちら】
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「高校関係者の間で漠たる不安が広がっている」
河合塾進学教育事業本部の船津昌己副本部長はそう話す。これまでのセンター試験に代わり、大学入学共通テスト(新テスト)が2020年度(21年1月実施)に始まる。新・高校2年生が最初の対象になる。
「新テストの講座を開くと、普通の講座よりも1ケタ多い、100人以上の応募がくることもある。大学入試センターが実施する試行調査の問題は公開されているが、内容や難易度はまだ定まっていない。特に情報の少ない地方では不安が広がっています」
とはいえ、どんな問題が出るのか、ある程度は見えてきている。暗記・知識より知識を前提にした思考力・判断力・表現力を重視した問題に変わるのが主眼だ。これまで3割程度だった思考力や判断力を問う問題が、新テストでは6割程度に増えると言われている。
国語(現代文)、英語、数学の主要3教科を具体的に見ていこう。
国語の主な変更点は2点。一つ目は、同じテーマの文章を二つ読ませる点だ。二つの文章を正確に読解し、要旨をまとめ、共通点や相違点の理解が求められる。二つ目は論述だ(左)。20~30字程度、40~50字程度、80~120字程度を書く問題が1問ずつ出る予定だ。二つの文章から自分が理解した内容を表現しなくてはならない。
記者も実際に解いてみた。二つの文章を理解し、設問と突き合わせながら解答を出すには時間がかかる。さらに論述となると、問題文を深く理解しないと解答は困難だ。
英語は、“実際に使える”力を問う。TOEFLやケンブリッジ英検など民間の試験でスピーキングとライティングの能力を問い、新テストでリーディング、リスニングの力を評価する。