東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
この記事の写真をすべて見る
右肩の不安さえ取り除けば、大きな戦力だ (c)朝日新聞社
右肩の不安さえ取り除けば、大きな戦力だ (c)朝日新聞社

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、メジャー帰りの選手たちが活躍できる条件を解説する。

【原監督と岩隈久志選手】

*  *  *

 メジャーリーグから日本球界に復帰した投手が直面するのが、日本のマウンドにいかに適応するか、ではないか。今季は岩隈久志が巨人入り。8年ぶりに日本球界に戻った。

 キャンプの第1クールは右ふくらはぎの違和感などもあって、ブルペン投球は見られなかったが、私は対応にはそれほど苦労しないとみている。その理由は下半身をしっかりと沈み込ませるように粘って捕手方向へと体重移動ができる点だ。広島に復帰した黒田博樹もそうだった。メジャーのマウンドと土質が異なる日本のマウンドは、右投手の場合、踏み出した左足の着地が5センチ前後ずれる。たとえずれたとしても、必ずピタッとくる場所がある。それを探し当て、なめらかに体重移動できるかが、カギとなる。もし、左足が上からバタッと着くと、左足を柔らかく使えないから、ズルッと動いた時に前後左右へのブレが出てしまう。

 ある程度そこがクリアされないと、自分のボールが投げられない。シーズン中も試行錯誤を続けることになり、対打者へ集中できない。東京ドームのマウンドも含め、日本の球場はどんどん硬くなってはいるが、メジャーとはまだ違いはある。楽天時代にあれだけ制球良く投げられた投手だし、ボールへの対応もできるとみる。あとは右肩に不安がなく腕を振れる状態になれるか。もし、不安が取り除かれたら、相当大きな戦力となるはずだよ。

 このコラムでも何回か取り上げたが、今季は1軍登録が28人から29人になる。ベンチ入りは25人で変わりはないが、選手を入れ替える幅が増える。投手をその29人目の枠に起用する場合、中6日よりも少しだけ長く間隔を空ける必要のあるベテラン投手を置くのも手である。左肩痛からの復帰を目指すソフトバンクの和田毅もブルペン投球を始めた。シーズン中には1軍に復帰するだろう。昨年は中日の松坂大輔がカムバックしたが、ベテラン投手には頑張ってもらいたいよね。

次のページ