一方で新人選手も春季キャンプに入って、スポーツメディアに大きく取り上げられている。西武ドラフト1位の松本航も、他球団のスコアラーが絶賛している報道を目にした。これから宮崎県日南市の南郷キャンプも視察するので、機会があれば彼の投球を見たいと思っている。日本ハムの吉田輝星も、まだ調子は上がってこないみたいだが、今の時期から絶好調だと、かえって怖い。開幕までまだ1カ月半あるし、焦る必要は何一つない。

 そして、ブルペン投球などの報道を目にすると、今の投手は多くの球種を持っているなと感じる。打撃技術の向上がそうさせているのだろう。以前なら球威のある速球を投げられる投手はもう一つ、ウィニングショットとなる落ちる球があれば良かったが、今は違う。スライダーやカットボールは持ち球として当たり前で、さらに抜く球、カーブやチェンジアップがないと、長く活躍はできない。

 変化球を複数持つ必要性があるのは先発投手だけではない。特にクローザーは、打者が速球と落ちる球への警戒心が強いから、それだけだと見極められる。逆に打者が頭に入れていないカーブのような球種があれば、カウントを稼げる。カーブはソフトバンクのサファテが投げているが、オリックスの増井浩俊も速いカーブの習得を目指すという。時代に対応するために、みんな必死だ。

週刊朝日  2019年2月22日号

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