FA移籍による人的補償が話題を呼んだ今年のストーブリーグ。西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、生え抜き選手をプロテクトする難しさを語る。
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2019年。新しい年がスタートした。プロ野球は各球団とも新人合同自主トレがスタート。新しいプロ野球選手が希望を胸に動き出した。テレビや新聞の写真を見ても、みんな表情がいいよね。
この時期、ルーキーにとって大切なことは、自分の体力を知ることである。特に高卒の選手はまだ体は成長過程にあるし、一気にプロの体になるわけでもない。20歳を超え、22から23歳に向け、昨年ブレークした巨人の岡本和真のように、しっかりと体作りをして、打者ならバットを振る体力をつけないといけない。今は、どれだけプロの平均と差があるのか。その距離感をしっかり把握して、地道に課題に取り組んでもらいたい。
西武監督時代に横浜高から入団した松坂大輔を開幕から使ったが、それは、プロで戦う体力があったからだ。春季キャンプも1軍スタートしたが、最初の2クールくらいは技術的なところは何も見ていない。とにかくプロのキャンプメニューにしっかり余裕をもってついていけるかだけだった。2月10日前後にようやく見極めがつき、1軍の戦力として平等にオープン戦の結果を見ていこうと決めたことを覚えている。
新年早々のニュースとしては、巨人にFA移籍した丸佳浩の人的補償として、広島が長野久義を獲得したことが話題を呼んだ。巨人ファンは同じく西武に人的補償で移籍した内海哲也も含めて、なぜ功労者をプロテクトしなかったのか、との思いがあるのは当然だ。
外国人選手とルーキーを除いた28人をプロテクトできる。今回の巨人と広島のケースでいえば、47人のうちの28人だったという。19人をどう外すか。昨年2軍で活躍した若手をプロテクトすれば、ベテランは外れる。
巨人は周囲の批判を受けることも承知でFA選手の獲得を行った。何とかチームを動かしたい、強化したいとの思い、そして強い覚悟は感じる。4年連続で優勝から遠ざかっている。特にこの3年は広島に大きく水をあけられている。ドラスティックにチームを変えるには、血を流すことは避けられない。変革への覚悟だけは感じるし、結果となって表れるかどうかは見守らないといけない。