つまり、アルツハイマー型認知症を含めて認知症予防にとっては、血圧が高いのはいいことではないのです。

 高血圧だとわかったら、循環器内科を受診して適切な治療を受けるべきです。さらにライフスタイルに配慮して、心身のストレスと上手に付き合い、適度な運動を心がけましょう。また必要のない塩分摂取は避けたほうがいいでしょう。

 ところが、こういう私も、実は高血圧患者のひとりなんです。それなのに、晩酌の友として、塩分が大好きときています。

 例えば、イカの塩辛、カツオの酒盗、筋子、めんたいこなど。これらがない晩酌など考えられません。これまで何度も書いてきましたが、晩酌は私にとって、最大のときめきですから、ここで塩分をひかえることなど、とてもできないのです。

 朝食と昼食では塩分をできるだけとらないようにしています。さらに私にとっての強い味方は降圧剤です。2種類の降圧剤を20年以上飲み続けています。ひとつは朝夕食後に1錠ずつ。もうひとつは夕食後に1錠です。この3錠のおかげで、晩酌は塩分を気にしなくていいのです。

 私から晩酌のときめきを奪ってしまったら、そちらのほうが認知症のリスクが高まります。私にとっては、「降圧剤様様」です。

週刊朝日  2018年9月28日号

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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