帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
この記事の写真をすべて見る
写真はイメージです (c)朝日新聞社
写真はイメージです (c)朝日新聞社

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のテーマは「高血圧と認知症」。

*  *  *

【ポイント】
(1)血圧が高いと認知症になるリスクが高まる
(2)脳血管性だけでなくアルツハイマー型も
(3)高血圧だとわかったら、対応が必要

 血圧がちょっと高めだと気にしている人は少なくないと思います。厚生労働省の2016年の調査では、最高血圧が140mmHgを超える人(20歳以上)は男性で34.6%、女性で24.8%。血圧が高いと認知症になりやすいのかどうかを、心配している人も多いでしょう。

 結論から言えば、血圧が高いと認知症になるリスクが高まります。

 認知症にはアルツハイマー型とは別に脳血管性認知症があります。この認知症は脳の血管の壁が硬くなりもろくなって出血したり、梗塞を起こしたりして発症します。

 血圧が高くなれば、出血や梗塞のリスクが高まりますから、脳血管性認知症になりやすいのは当然のことでしょう。脳出血、くも膜下出血、脳梗塞など、いわゆる脳卒中になった患者さんは、通常の約2倍以上認知症に進展するというデータもあります。

 それでは、アルツハイマー型認知症はどうでしょうか。以前は血圧とは関連がないという見方もされていたのですが、最近はそうでもなくなってきました。

 最高血圧が160mmHg以上の人の脳を病理学的に検討すると、脳血管病変が多いことはもちろんですが、脳重量が軽かったり、アミロイドβの蓄積が新皮質や海馬で多かったりするというのです。アミロイドβはアルツハイマー型認知症を引き起こすとみられるタンパク質です。また最低血圧が95mmHg以上の人では、海馬の神経原線維の変化が多く見られたというのです。血圧をコントロールすることで、アルツハイマー型認知症の発症予防や、進行を遅らせることができたという報告もあります。

著者プロフィールを見る
帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

帯津良一の記事一覧はこちら
次のページ