それにしても、影が薄くなるばかりの男性はどうなのか。女子と対になる男子でいえば09年に流行した「草食男子」が有名だが、こちらは「女子」が持つアクティブさとは逆のイメージだ。
世代・トレンド評論家の牛窪恵さんは、今の男性の生き方を嘆く。
「お父さんのように家族を養うために一人で働き続けるのは自分では無理と思っているのに、男としてはやっぱり仕事で周りに認められないと、というステレオタイプの男性像からいまだに抜け出せていません。社会全体にも『仕事ができない男は一人前じゃない』という考え方が残っていて、実際に仕事に自信がない男性は、どこかで自分を卑下しながら生きています。とても窮屈だと思います」
それでも、「女子」につられて「男子」も市民権を得つつあるようにも見える。
「弁当男子」や「料理男子」「日傘男子」などが言葉として成立しているのは、これまで女性の領域だったところに男性が入り始めていることを示してはいないか。一部の男性ファッション誌は「40歳男子」などを表紙見出しに使うようになっている。そして2002年6月の『AERA』の記事「30すぎても『女子』な私たち──学校時代の対等な感じで男社会に自然に立ちたい」を書いた元同誌編集長で、現在、BUSINESS INSIDER JAPAN統括編集長の浜田敬子さんによると、自らのことを「○○男子」と呼ぶ若い男性が出てきているという。
「シェアエコノミー好きの男性が、『僕はシェアエコ男子だ』と言っていましたよ」(浜田さん)
もちろん、女子パワーの前には及ぶべくもない。宝島社は昨年暮れ、とうとう60歳代の女性向けにファッションムックを発売し始めた。「素敵なあの人の大人服」がそれで、これまでに2冊発行され、累計で10万部を超す好調さだ。
さて、今回、ご登場いただいた識者の皆さんで、ほとんどの方の見方が一致した点が二つある。
・「女子」の広がりは、強まりこそすれ弱まることはない
・早晩、女性全体、老いも若きも全員が「女子」になる