日本中に広がる「女子」旋風。いったい、それにしても、どうしてここまで使われるようになったのか。
女性を指す呼称としては、「山ガール」などの「○○ガール」や「歴女」などの「○○女」もあるが、消費社会研究家の三浦展氏は、女性会社員が「内心上機嫌」と言ったように、言葉として若々しく感じる点が「女子」がここまで広まる一因になったと見る。
「女性というと『女性らしく~』など性別の社会規範を表すイメージがあるので、そもそもジェンダー論的に今は使いにくい言葉になっています。『○○ガール』は、消費を促す娯楽的なイメージがある。それに比べると、女子は社会的な意味でもアクティブなイメージです。AERAの記事の見出しにあるように、学校にいるような平等感もある。使いやすい言葉だと思います」
誰もが指摘するのは、86年の男女雇用機会均等法の施行以降の女性の社会進出の広がりだ。それに歩調を合わせて「女子」も広がっていったのだ。
長年、女性ファッション誌を研究し、『「女子」の誕生』(勁草書房)の著書もある甲南女子大学の米澤泉准教授が、
「職業を持つ女性や総合職が増えていき、必ず結婚しなければならないという呪縛から女性が解放されていきました。『30代、働く未婚女性』が増え、彼女たちをどう呼ぶかとなったときに『女子』がぴったりはまったのです」
と言えば、三浦氏も、
「これまで男性の領域とされていたところに女性が乗り出すようになったときに『○○女子』が使われる傾向があります。仕事の専門性を表す『建築女子』や『土木女子』がそうですし、最近では『キャリアウーマン』という言葉も古くさくて、『お仕事女子』のほうがしっくりきます。考えてみれば、均等法施行のころに小学校に入学した生粋の男女平等世代がもうすぐ40歳です。女子が全盛になるのもうなずけますよね」
と話す。
女子パワーはとどまるところを知らず、記者が当初抱いた「違和感」は取材を進めるにつれ、薄れていった。