「人は血管とともに老いる」と言われる。血管はゴムホースのようなもので、赤ちゃんの血管は、新品のホースのようにしなやかで弾力があり、内側の血液が通る壁もスベスベしてなめらかだ。しかし年を取るとともに弾力を失って硬くなり、内側には脂や汚れが付着してしまう。
「硬くなった血管をノックすると、カンカンと硬い机をたたいたような音がします。この血管は、血液を流すという本来の力が失われ、血液を全身に行き渡らせることが困難となります」
こう話すのは、心臓血管外科医で大崎病院東京ハートセンター顧問の南和友医師だ。このような血管の状態を「動脈硬化」と呼び、ほとんど自覚症状はないが、進むと血管壁が膨れて血液が流れる部分が狭くなり、やがて詰まる。これが脳の血管で起これば脳梗塞に、心臓の血管で起これば心筋梗塞となる。
血管が老化して狭まったり、詰まったり破れたりすることで起こる「脳血管障害」や「心臓病」などの「血管病」の死亡者は、55歳ごろから増え始める。一見「元気」なまま、命を落としたり、脳梗塞や下肢動脈閉塞を発症したりして、さまざまな障害を抱えた生活に陥ってしまうのだ。
血管は体の内側にあるので老化がわかりづらい。新小山市民病院院長で、循環器内科が専門の島田和幸医師はこう話す。
「血管の耐用年数は約120年とされています。ところが血管年齢が実年齢よりも高い人の場合、耐用年数は短くなります。また健康な人であっても、55歳を過ぎると血管にある程度リスクを抱えた状態になります」
血管危機のサインは、血圧にも表れる。血圧は、年を重ねるとともに上の血圧(心臓が収縮しているときの血圧)も下の血圧(心臓が拡張しているときの血圧)も両方高くなるのが一般的だ。しかし太い血管で動脈硬化が進むと、上の血圧だけが上がり、下の血圧はむしろ下がる。この変化が表れ始めるのも55歳くらいからが多いという。
【今すぐわかる、あなたの血管年齢】
Q1~22で当てはまる項目にチェックをつけましょう。Q1~17は各1点、Q18~22は各2点で計算し、その合計点を確認してください。
Q1:早食いだと言われる
Q2:肉や揚げ物が好きだ
Q3:野菜をあまり食べない
Q4:魚をあまり食べない
Q5:外食が多い
Q6:丼物、カレーなど、単品料理を好む
Q7:ラーメンをよく食べ、汁も飲み干す
Q8:お菓子をよく食べる
Q9:お酒をよく飲む
Q10:運動はほとんどしない
Q11:日常生活で、あまり歩くことがない
Q12:最近、特に太った
Q13:いつも忙しいと感じる
Q14:寝不足だ
Q15:イライラすることが多い
Q16:ストレスが多いと感じる
Q17:趣味といえるようなものがない
Q18:血圧が高い
Q19:血糖値が高い
Q20:コレステロール値が高い
Q21:家族に血管病になった人がいる
Q22:たばこを吸っている