うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や3歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた”なっちゃん流教育論”をお届けします。
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7月6日、オウム真理教の教祖であった松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚が死刑となりました。地下鉄にサリンをまくなど、無差別に人を襲ったことで、多くの死者と重傷者が出ました。平成の歴史に残る衝撃的な事件でした。
その日のテレビには、教団に心酔して全財産を投じた信者と、「息子を返して」と泣く母親の姿が映し出されていました。子どもは麻原の教えに従い心の拠り所にしているのに対して、母親は麻原は人間を唆すインチキ教祖だと糾弾していました。教団の中から捉える景色と、外から見る景色、同じモノがどうしてこうも違ってみえるのでしょうか。
■家庭と宗教は似ている!? NHKしか見ない友人
大げさにいえば、家庭と宗教は似ていると思います。もちろん、親が子どもにヘッドギアをつけて「静かにしろ」「ワガママを言うな」と自分の教えを延々と流すわけではありません(しょっちゅう言いたくはなりますが……)。しかし、親がもっている常識が子どもにとって一般常識となっていくことを考えると、親は子どもにとって教祖のように大きな存在になるわけです。
実際、私も大学のときに家を出て一人暮らしをして初めて、外界との常識のギャップに驚くこともありました。お雑煮は、全ての都道府県で、お餅と鰹節と青のりだけが入っているシンプルな食べ物だと思っていました。まさか、みそ汁のように具だくさんのお雑煮が存在するとは知りませんでした。
また、うちの親は偏差値が高い学校に入るよりも、できたら近所がよいという思考の持ち主でした。最初はずっと、大学はできたら地元に行ってほしいというようなことを言っていて、親とはそういうものかと思いました。