帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
コーヒー&お茶は認知症リスクに効果アリ?(※写真はイメージ)
コーヒー&お茶は認知症リスクに効果アリ?(※写真はイメージ)

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のテーマは「カフェイン」。

*  *  *

【ポイント】
(1)認知症予防の効果が期待できるコーヒー
(2)お茶に含まれるカテキンにも効果が
(3)コーヒーが苦手な人はかわりにお茶を

 身近にある飲食物の中で、認知症予防の効果が期待できそうなのが、コーヒーです。コーヒーの実や葉に含まれるカフェインには集中力を高める作用があることが知られていますが、認知症発症の抑制効果についても、いくつかの臨床研究で報告されているのです。

 そのなかで注目されるのがスウェーデンとフィンランドの共同研究です。この研究チームはフィンランドで1409人を対象に20年以上にわたり調査を続けました。その間に対象者は65歳から79歳になり、このうち61人が認知症を発症したのです。うち48人がアルツハイマー型です。この認知症発症グループと発症しなかったグループを比較して分析した結果、コーヒーを1日3杯以上飲む人は、2杯以下しか飲まない人に比べて、認知症の発症リスクが60~65%低下するという結果が得られたというのです。

 カフェインの中枢神経への影響はまだ十分には解明されていないのですが、マウスによる実験では、カフェインの投与によってマウス脳内での老人斑形成が抑制されるという結果も得られています。

 コーヒーの愛好家にとってはうれしい限りの結果が出ているのです。

 といっても、日本人に馴染みが深いのは、コーヒーよりもお茶ではないでしょうか。お茶の効用については、昔から様々に語られ、臨済宗を日本に伝えた栄西(1141~1215)は「茶は養生の仙薬(とてもよく効く薬)なり、延齢の妙術なり」と述べています。実際、緑茶の健胃、解毒、虫歯予防、利尿、眠気覚ましといった効用は昔から知られています。さて、気になるのが認知症に対する効果です。

著者プロフィールを見る
帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

帯津良一の記事一覧はこちら
次のページ