2017年3月に開業した広島県東広島市にある「JR寺家(じけ)駅」。周辺では宅地開発が進む(c)朝日新聞社
2017年3月に開業した広島県東広島市にある「JR寺家(じけ)駅」。周辺では宅地開発が進む(c)朝日新聞社
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 年収1115万円、人口の約10人に1人は社長という港区をトップに東京23区が際立つ、東日本の年収ランキング。しかし、西日本では“都心一極”の東日本と比べ、大きな違いがあるようだ。

【図表】勝ち組が集まる街はここだ!市区町村別・年収ランキングはこちら

 西日本の年収ランキングを見ると、兵庫県、大阪府、愛知県の自治体が目立つ。郊外のベッドタウンが上位に入っている。

 1位は芦屋市(兵庫県)の610万円。2位は隣接する西宮市(同)が429万円。

 芦屋市は神戸市と大阪市のほぼ中間地点にあり、JRや阪急などの鉄道で通勤しやすい。

 市の東北部にある「六麓荘(ろくろくそう)町」は、経営者や医師らが住む超高級住宅街。立派な門構えと高い壁に囲われた豪邸が並ぶ。新たに住宅を建てる場合は400平方メートル以上、庭は4割以上にしなければならない。町内会の入会費は50万円もかかるという。芦屋市に住む男性は「六麓荘町は芦屋市でも別格で『お屋敷街』と呼ばれています」と話す。

 3位は427万円の長久手市(愛知県)。名古屋市と豊田市のほぼ中間に位置し、どちらにも車で30分程度で行ける。長久手市の人口は近年増加している。4月時点の人口は5万7千人で13年から6千人増えた。市役所税務課の担当者は「子育て世代に人気があります」。住民の平均年齢は38.6歳で全国平均より7.8歳若く、全国の自治体で最も若い。

「大型商業施設ができ保育園も増えて、地価が上がっている。所得が高い人が新たに移ってきていると思います」(税務課)

 西日本の年収増加ランキングは、近畿圏以外の街が上位になった。

 トップは東広島市(広島県)の34%増。昨年3月にJR寺家(じけ)駅が開業し、周辺では住宅やマンションが新しく建てられている。市役所市民税課の担当者は、働き盛りの子育て世代が増えているという。

「市内には広島大や県立の中高一貫校などがあり、教育環境がいい。人口増加に対応して、4月に新たな小学校を開校しました」

 2位は日本最西端の島にある与那国町(沖縄県)の26%増。町商工会の玉那覇有允(たまなはありよし)さんは、人口約1700人の小さな町に、陸上自衛隊の駐屯地が16年にできたことが理由だと教えてくれた。陸自の平均月給は30万~40万円ぐらいで、村民よりも高め。玉那覇さんは、自衛隊は町の経済に恩恵をもたらしているという。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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