「私は常々、鉄道の新駅や駅前の再開発計画には乗ることをすすめていますが、それを実行するのです。東京都心で新駅と言うと山手線の新駅ですし、再開発には渋谷駅周辺などがあります。新駅や再開発地区の周辺を買っておくと、駅や再開発が完成したときに必ず値上がりします。経験則だと3割は堅い」(同)

 とはいえ繰り返すが、自宅であるがゆえに失敗は許されない。沖氏によると、東京都心の不動産は、立地によってまだまだ値上がり余地があるという。また、前述したように、黒田・日銀総裁の任期中、23年までは金融緩和が続くと沖氏は見ているから、「次」を待つのも一策か。

 富裕層は東京都心の不動産で相続対策を行うケースが多いため、自宅購入の実需に加えて需要が旺盛、地方の若者の東京への流入はまだ止まりそうもない、街を変える再開発もなお目白押し……。

「東京に限ったことですが、チャンスはまだまだ残っています」(同)

 外資系メーカーに勤める港区のCさん(31)は3年前、結婚を機にタワマンを買った。2LDKで約7千万円。頭金は1割で、共稼ぎの妻とめいっぱいのペアローンを組んだ。毎月の返済額は17万~18万円。

「妻も私も通勤はたったの30分。昨年、子供が生まれましたが、勤め先が近いので妻はフルタイムで働き続けています。便利ですね」

 両親も同区内のタワマンに住んでいるため、「住まいサーフィン」は以前からよく知っていた。「沖理論」もよく研究していて、「7つの法則」に合う物件選びを心がけたという。目標は、もちろん買い替えだ。

「私も10年ぐらいで住み替えたい。子供が大きくなるので、手狭になりそうですから。あと7年ほどあるので、じっくり勉強します」

 先のAさん、Bさんも、さらなる買い替えを狙っている。

「(次は)5年以内くらいですかね」(Aさん)

 3人が「すごろく」を続けられるかは神のみぞ知るだが、マンションの自宅を、長く住み続けるのではなく、このような手法で回していけることは知っておいたほうがよさそうだ。(本誌・首藤由之)

週刊朝日  2018年6月22日号より抜粋

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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