日本年金機構を監督する厚生労働省の責任も問われている。不祥事が続く日本年金機構の本部=東京都杉並区(c)朝日新聞社
日本年金機構を監督する厚生労働省の責任も問われている。不祥事が続く日本年金機構の本部=東京都杉並区(c)朝日新聞社
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出さないと損する「扶養親族等申告書」
出さないと損する「扶養親族等申告書」
年金受給者は「年金額改定通知書」や「年金振込通知書」を確認
年金受給者は「年金額改定通知書」や「年金振込通知書」を確認

 10年以上経っても未解決な「消えた年金」問題。そして個人情報流出、計約598億円の支給漏れに、今年になって130万人分の「過少支給」も判明した。

【出さないと損する「扶養親族等申告書」の見本はこちら】

 こんな状況では、国や年金制度への信頼度は下がるばかり。年金を正しくもらうためには、自分で努力するしかない。まずは、扶養親族等申告書の書き方について学ぼう。

 年金問題に詳しく「年金博士」とも呼ばれる社会保険労務士の北村庄吾氏は「所得」という用語に気をつけるよう促す。申告書の「本人所得」や「年間所得」は、一般的にイメージする収入そのものではない。年金や給料などから、税金の控除額などを差し引いたものだ。「公的年金等の源泉徴収票」などが参考になる。

 北村氏は「控除額の計算では配偶者控除が18年から改正されたことにも注意しておきたい」と言う。改正で控除を最大限受けられる年収の上限が、103万円から150万円に引き上げられた。

 不動産所得などがある場合の計算方法は難しい。ほかにも申告書の「寡婦」や「特別寡婦」、「寡夫」といった用語を選ぶ項目もある。申告書には記入方法の手引があるが、不安な場合は機構や専門家に相談しよう。

 裏面にも記入欄はある。控除対象となる配偶者や扶養親族がいる場合は、氏名やマイナンバーを「摘要」のところに書く。仮にマイナンバーの記入がなくても、申告書が提出されたものと見なしてくれる。

 年金が正しく受け取れているか、どうすれば確認できるのか。

「すでに年金を受け取っている人は、まず、自分の通帳を見て振込額を確認しましょう。収入などが変わっていないのに金額が大きく変動していれば、おかしいと気づけます」(北村氏)

 年金は2カ月に一度、指定の口座に振り込まれる。新年度になると物価や賃金の動向が反映され、金額も若干変わるが、前年度との違いは「100円以下」のことがほとんど。振込額が千円単位で異なるようなら要注意だ。

 受給者には「年金振込通知書」や「年金額改定通知書」が届く。これらをよく確認する。年金振込通知書の「控除後振込額」が大きく変動した場合は、扶養親族等申告書を出していない恐れがある。

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