要介護人口が600万人を超えた今、介護サービスを必要とする利用者と、介護サービスとの橋渡し的な存在として、ますますその重要性が高まっているのがケアマネジャー(介護支援専門員、以下ケアマネ)だ。だが、その質には大きな差があるという。ケアマネ次第で介護生活が大きく変わるというのは、本当だろうか──。
【図】居宅介護支援事業所における介護支援専門員の従事者数はこちら
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「前の人はあまりにもひどすぎました」
そう言ってため息をつくのは、東京都在住のミヨ子さん(仮名・84歳)。「前の人」とは、半年前まで担当していたケアマネのことだ。
ミヨ子さんは15年前に肺がんで夫を亡くして以来、一人暮らし。2016年末に心臓病を患って入院。1カ月ほどの入院で足腰が弱り、介護が必要になった。
当時の介護度は「要介護4」。立ち上がったり、歩いたりすることが難しく、一日中ベッドで寝ているだけ。トイレや風呂、衣服の着替えなども介助がなければできない状態だった。
そんなミヨ子さんが退院時に病院から紹介され、介護サービスを受ける一連の手続きを進めてくれたのが、このケアマネだった。
ケアマネは、ケアプラン(介護サービス計画)を作り、自治体や医療機関、介護事業所と調整し、介護保険を利用するための手続きを行う。利用者の健康状態などからサービスの内容を評価、見直すことも大切な業務で、最低でも月に1回(要支援は3カ月に1回)は利用者の自宅を訪ねる「モニタリング訪問」が義務付けられている。
ところが、このケアマネは初回の面会から半年過ぎてもミヨ子さんのところに顔を出さない。連絡・報告はすべて、初回に同席した姉経由だった。
介護費用も思った以上にかさんだ。ケアマネが作ったケアプランでは、食事や入浴、おむつ交換のため、毎日4回ヘルパーを頼む。介護保険を使っても月々40万~50万円かかっていた。
「とにかく何か相談したくても、会えないんだからどうしようもない。一度、どうして来ないのか姉に聞いたら、『あなたはわがままだ、って言っていたわよ』と逆にたしなめられて。もうこれ以上、お願いできないと思いました」(ミヨ子さん)