ケアマネの経験がある、淑徳大学総合福祉学部教授の結城康博さんは「しっかり選ばないと、いい在宅介護を受けられないと思ったほうがいい」ときっぱり。
「ケアマネは、いわばその人に合った介護を、経済的な面も含めて考えてくれる人。今はだれでも介護が必要になったら必ずケアマネを選び、介護保険サービスを使う。つまり、ケアマネのレベル、イコール、利用者の介護生活のレベルになります」(結城さん)
実は、利用者から契約解除はできるが、ケアマネのほうから利用者の担当を断ったり、途中で降りたりすることは、原則できない。
「介護も人と人との関係のなかで成り立つものなので、合わないと感じたら早い段階で代えたほうがいい。断られたからケアマネが気を悪くするという気遣いは不要です。むしろ、ガマンしてズルズルと関係を続けるほうがよくなく、お互いに不幸です」(同)
直接、本人に伝えられないときは、地域包括支援センターに間に入ってもらうという方法もあるそうだ。
ケアマネも選ぶ時代といえそうだが、どうすれば自分や家族に合ったケアマネと巡り合うことができるのか。まずは、所属や基礎資格など、同じケアマネでもバックグラウンドの違いがあることを知っておこう。
ケアマネになるためには、「国家資格があり、その業務を5年以上経験する」などの資格要件を満たし、試験に合格する必要がある。この資格要件によって、ケアマネの得意分野が変わってくる。いわゆる、看護師や理学療法士などの“医療系ケアマネ”と、ヘルパーなどの実務経験がある“介護系ケアマネ”という分け方だ。前出の渡辺さんは、自身の経験を踏まえ、こう説明する。
「一概にはいえませんが、看護師が基礎資格の人は医学系の知識があり、体調の変化などをある程度判断できる人が多い。ケアプランもおおむね科学的な知識をもとに作っていますね。一方、私も含め、介護系の資格を基礎資格に持つケアマネは、自分の経験に基づいたケアプランを立てがちかもしれません。介護系は寄り添うケアが得意なので、利用者の気持ちをくみ取ってケアプランに反映する人が比較的多いのでは」