こうした基礎資格は、認知症に強い、がんの終末期に強いといった分野では参考になりそうだ。だが、介護系のケアマネでも熱心な人は、医療者と勉強会を開くなどして、技量を高めているので、これだけでは良し悪しはいえない。
さらに、ケアマネになった後に所属する居宅介護支援事業所には、ヘルパー事業所やデイサービスなどのサービス事業所を併設した「併設型事業所」と、ケアマネだけが独立して運営する「独立型事業所」があり、この所属がケアプランの内容に影響することもある。
都内の居宅介護支援事業所に勤める、あるケアマネは、「併設型の場合、自分の所属する事業所の介護サービスを勧めるよう、働きかけを受ける傾向がある」と打ち明ける。
「ケアマネは一人で担当する利用者さんの数は35人と決まっていて、正直なところ報酬はあまり高くないんです。ですので、併設型の事業所は、ケアマネに営業的な要素を期待しているわけです。ケアプランに自身の事業所の介護サービスを加えれば、事業所全体の収益につながりますから」
公正中立でありたいという気持ちと、事業所のスタッフという立場のはざまで、疲弊しているケアマネもいるという。
併設型がどれだけ自施設のサービスを使っているか。16年に会計検査院が出した報告書からもうかがえる。同報告書によると、東京都など21都県2230カ所の事業所のうち、ケアプランが特定の介護サービス事業者に偏っていた事業所は約4割。その約9割はケアマネの所属する事業所と、介護サービスを提供する事業所が同じ法人だったことがわかった。前出の結城さんはこう述べる。
「もちろん、併設型の事業所はワンストップで、連携が取りやすいというメリットもあります。併設型だから悪いというのではなく、サービスを勧める理由が利用者目線か、事業所のメリットなのか。そこはしっかり見極めたほうがいいと思います」
(本誌・山内リカ)
※週刊朝日 2018年4月20日号より抜粋