意を決したミヨ子さんは、ついにケアマネを代えることに。後任者はいつも利用する介護タクシーの運転手に紹介してもらった。
昨年夏から新しいケアマネになった。大きく変わったのは、ミヨ子さんの健康状態だ。秋には一人で歩けるまで回復。今はトイレにも一人で行け、リハビリパンツもやめた。風呂も一人で入れる。現在の介護度は「要介護1」。大きく改善した。
ヘルパー利用も日4回から1回になり、自己負担は月1万7千円に。気持ちも明るくなったというミヨ子さんは、笑顔で言う。
「今の人は今後の生活について相談にのってくれるし、気分転換の外出にも付き合ってくれる。何より、何かあったときにすぐに連絡が取れると思うと、心強い」
介護保険制度のスタートからもうすぐ20年。厚生労働省の資料によると、居宅介護支援事業所にいるケアマネの数は15年に約10万人、9年前より約2万人増えている。今の制度では欠かせないケアマネだが、一部では先のミヨ子さんのように嫌な思いをするケースも。
そんなとき、ケアマネを代えることができるのは、意外と知られていない。東京都世田谷区を中心に居宅介護支援を行っている主任ケアマネの渡辺孝行さん(たから居宅介護支援)は、こう明かす。
「不満に思っていても、ケアマネを代えるところまで踏み込めない利用者さんが多いように感じています」
そこには世話になっているのに申し訳ないという気持ちや、イチからケアマネとの関係を築き直すのが面倒といった背景もある。
「確かにケアマネを途中で代えるということは、それまでの介護の方針を変えるリスクがある。その先が担保できないから、不安になる気持ちもわかります。でも、良いケアマネなら、いい方向に軌道修正をしてくれます」(渡辺さん)
家族の介護経験があるノンフィクションライターの中澤まゆみさんも、「ケアマネ次第で介護がうまくいかなかったり、よくなったりというのは、とてもよくあること」と言う。