涙の流れ
涙の流れ
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 加齢によって出やすい眼の症状の一つが「涙目」。どんな仕組みで症状が出るのか、どうやって症状を和らげたらいいのか。好評発売中の週刊朝日ムック『眼の病気&老眼がまるごとわかる2018』で、島崎眼科・田聖花医師に聞いた。

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 医学的には「流涙症」と呼ばれる涙目。結膜炎など病気症状の一つとして現れることもありますが、それ以外の場合、二つの原因が考えられます。

 一つは「鼻涙管狭窄・閉塞」です。涙は上まぶたの外側にある涙腺でつくられ、眼球表面を潤し、その後、目頭にある涙点という孔に吸い込まれ、涙小管、涙嚢、鼻涙管を通り、鼻腔に排泄されます。鼻涙管には涙を吸い込むポンプ機能がありますが、加齢によってポンプ機能が弱まっていきます。それ自体は誰でも起きますが、もともと鼻涙管が細いといった形質があると、鼻涙管狭窄・閉塞を起こし、涙が鼻涙管に吸い込まれずに涙目になります。

 もう一つの原因は「結膜弛緩症」。白目を覆っている結膜が緩んだ状態で、程度の差はありますが60歳を過ぎると誰でも起きます。ゆるみの程度が強いと、結膜がひだになり、下まぶたに沿ってたまります。するとひだの間に涙がたまるほか、まばたきをしたときの異物感や結膜下出血をくり返すといった症状が出ます。ひだが黒目に重なる部分までたまると、見た目が気になることもあります。

■まずは点眼薬で様子をみて

 鼻涙管狭窄・閉塞、結膜弛緩症のどちらも加齢によって発症するため、併発していることも珍しくありません。治療はまず、結膜炎やドライアイなどで使用する点眼薬で様子をみます。それだけで症状が気にならなくなることもあります。

 ただしどちらの場合も、根本的な治療は手術です。鼻涙管は狭窄の程度が軽ければ、鼻涙管にシリコンのチューブを挿入して広げます。鼻涙管が広がり、安定するまで留置したのち、外します。狭窄の程度が重いか、完全に閉塞している場合は、涙点から内視鏡を挿入し、鼻涙管を開通させます。内視鏡で開通できない場合は、目頭と鼻の間の皮膚を切開して鼻涙管を直接開通させます。

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