「中学を卒業してから、地元でバイトしていた3年間に、原付きに乗って、バイト先に向かうとき、かつての同級生が、制服姿で自転車に乗って楽しそうに通学しているのを見ると、私、恥ずかしくなって、ヘルメットで顔を隠して、気づかないふりをしていたんです。そのときは、“私、こういうことがしたいわけじゃないのに”って、後ろめたさがあった。でも、今は、好きなことができているから、毎日が楽しい。その楽しさは、映像でも舞台でも一緒です」
舞台「そして僕は途方に暮れる」で、江口さんは、8年ぶりに三浦大輔さんの作品に出演する。
「8年前の舞台を楽しめなかった自分がいて、それをずっと根に持っていたから、今回はリベンジです(笑)」
最近、大きな変化があった。何度も何度も、夢に“最後に住んでいた街”が出てくる。何なんだろう、と気になって、大阪で仕事があったとき、13年ぶりに地元に足を運んだ。
「私が21のときに父が亡くなって、そのあと家を手放したので、13年ぐらい帰ってなかったんです。でも、バスで山奥の家に近づくに連れ、何だか泣きそうな気持ちになって……。バスを降りたら、変わらない故郷がそこにあって、『なんだ私、帰りたかったんや』って思いました。今は、故郷の街が大好きです」
(取材・文/菊地陽子)
※週刊朝日 2018年3月16日号
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