つまり、説明書に合体のさせ方まで書いてあるというのに、DXギガントホウオーだけ買ってもキュータマジンは作れない。長靴は長靴のままなのだ。
女子高生ならずとも、
「それって、ひどくね」
と言いたくなる。
昭和君よりもむしろ大センセイの方が意地になってしまって、近所の量販店にDXキュウレンオーを買いに走った。すると、お年玉を握りしめた子供の対応に疲れ果てたといった表情の店員が、DXキュウレンオーはもうないと言う。
「キュウレンジャーは二月で放送終了なので、メーカーさんも作ってないですよ」
なぜか、ものすごく悔しい思いがこみ上げてきた。
たかが子供のオモチャかもしれないが、別売りの商品を追加で買いたくなるように仕向けておいて、いざ買おうと思ったら放送が終わるから終売というのは、あまりにも勝手すぎる!
憤懣やる方ない思いで家に帰ると、妻太郎がネットショップでDXキュウレンオーを探し出してくれた。だが、しかし、キュータマジンを完成させるには、さらに別売りのキュータマ六個を追加購入しなければならないことが判明したのだった……。
いま、大センセイの豪邸の居間には、タマタマてんこ盛りの巨大なキュータマジン様が鎮座しておられる。合体に合体を重ねた堂々たるお姿だが、悲しいかな、彼はすでに“時代遅れのオモチャ”なのだった。
※週刊朝日 2018年3月16日号