そう、人生二毛作どころか、三毛作も可能になっているのだ。みんなは第二、第三の人生をどう過ごそうとしているのだろう。やり残している夢はありませんか……。本誌は、シニア世代を中心とする100人に率直に聞いてみた。もちろん十人十色。趣味嗜好はさまざまだ。回答の多くは荒唐無稽な「夢物語」よりも頑張れば手が届きそうな「計画」だった。

 多くの人が次のステージに向けて動き出している。彼らの思いや実践を見聞きすれば、自分の第二の人生の参考になるかもしれない。

■自分を磨く

「皇居の周りを自転車で巡り、早朝の都心の風景を写真に収めたい」と回答したのは男性会社員(48)。かつて日本画家奥村土牛氏の四男、森氏の写真教室に通い、「課題を見つけて継続して撮影することに意味がある」と教えられ、実践しているのだとか。

 67歳の男性文筆家は、プルーストが半生をかけて執筆した『失われた時を求めて』やジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』といった、過去に読みそびれた古典をこつこつと読むことを楽しんでいる。

 人類史をコンパクトに総括した哲学的エッセーや新しい経済学を体系的に提起する論考書を執筆したいのは66歳の年金生活者の男性。「自身の世界観をまとめてから死んでいきたい」という信条だ。

次のページ