


忙しい上に、忘年会や新年会が重なって、疲労がたまる年末年始。この時期のセルフケアにぴったりなのが伝統医療のお灸だ。最近はやけどをしにくいように工夫された市販品が多く、初心者でも扱いやすくなっている。すぐに治したい不調に効くツボと、お灸のやり方を専門家に聞いた。
12月某日。せんねん灸ショールーム銀座の3階では、一般の人を対象にしたお灸教室が開かれていた。
参加者は女性ばかり7人。畳の上に座り、「三陰交は女性にいいツボなんですよ」といった鍼灸師の説明を熱心に聞きながら、ツボを探し、お灸を据えていく。
「あ、おなかが温かくなってきた……」
こうつぶやいたのは60代の女性。埼玉から友人2人と習いに来たという。
「ツボの取り方はむずかしいと思っていましたが、教わったとおりやったらうまくいきました」(女性)
隣にいた友人の女性は、「肩コリや血行不良があるので、それを治したいですね」と話す。
せんねん灸を販売するセネファの小泉洋一さんによると、受講者のほとんどは女性で、50代が中心。毎日のように開催する教室は、ほぼ満員だという。
「最近は、セルフメディケーションを国が勧めていることもあって、お灸に対する関心が高まっています。『症状があって困っているけれど、鍼灸治療は敷居が高い』という方でも、ここなら気軽に来られるようですね」(小泉さん)
師走ももう半ば。この時期は年末の忙しさに加え、忘年会などの集まりも増え暴飲暴食が続く。すでに疲労や睡眠不足、胃もたれ、頭痛、肩コリなどのつらい症状を抱えている人も多いのではないか。
そんな人にぜひ試してもらいたいセルフケアこそ、伝統医療として昔から行われていたお灸だ。
「お灸は血行不良になっている場所に熱を加えて温めて、力を与えてくれます」
と語るのは、千葉市内で和光治療院・漢方薬局を営む、鍼灸師の平地治美さんだ。年末になると不調を訴える人が治療院に駆け込むという。