石破:「十分に戦える」と、「攻めていくことができる」とは全く違います。わが国は「専守防衛」が国是ですから、よその国が攻めてきたらそれを全力で排除するが、こちらから攻めていくことは一切しない、という考え方でずっと来ています。だから、よその国を攻めることができるような装備は一切持ってないんです。北朝鮮の対空ミサイルや戦闘機が飛んでくる中で、空中戦をやろうとすれば、燃料を食うから、空中給油機が相当数必要になります。でも、日本はほんの数機しか持っていません。大体、北朝鮮のどこにミサイル基地があるのかもわかりません。
林:それは衛星写真でとっくにわかっているんじゃないですか。
石破:北朝鮮の最近のミサイル発射装置は、移動可能です。しかも以前と違い、液体燃料ではなく固体燃料で打ち上げが可能なので、準備時間がかかりません。衛星画像ではダミーの張りぼて基地かどうかの判断はできませんが、それを見分けるための24時間監視の熱探知衛星もわが国は持っていません。1隻1700億円もするイージス艦も、基本的にはほかの護衛艦と同じです。ただ、レーダーが非常に優秀で、同時に多方向を見られるので、どこから飛翔体が飛んでこようと対応できるんです。ただ、それは敵を見つける能力であって、攻撃する能力がすぐれているわけでも何でもないんです。