林:はい、そうですよね。
石破:大陸間弾道ミサイルは、飛ばすこと自体はそんなに難しくないんですが、大気圏に再突入させ、何千度という高温に耐え、実際に着弾して爆発させるという技術はかなり高度なものと聞きます。
林:そうなんですか。
石破:ですから北朝鮮の長距離核ミサイルが、アメリカまで届いてちゃんと爆発するかどうか。それよりも日本にとっての脅威は、いわゆるノドン級の中距離もしくは短距離のミサイルです。北朝鮮はこれらを20年ぐらい前から200~300発持っていると言われています。つまり20年も前から、日本全体が北朝鮮のミサイルの射程に入っているわけです。この事実を考えると、「いざとなったらおまえの国の原発にミサイルを落としてやるぞ」という脅しがまったく無意味だと私は思いません。
林:ただ、脅しが過ぎる感じがありませんか。「先にやっちまえ」という機運が高まると困りますよね。
石破:そういう議論にポンと飛ぶ人もいるんだけれど、日本には北朝鮮を攻める能力なんてゼロです。
林:本当ですか? 「十分に戦える能力を持っている」と軍事の専門家の方に聞いたことがありますよ。