さて旅は、新潟。
知名度が高い「ヤスダヨーグルト」が開発するのは、生乳100%ヨーグルトから固形分を取り除いたホエイ(乳清)をぜいたくに使った化粧品「ホエイ」。生クリームのような泡立ちの生せっけんや、化粧水・乳液・クリームが一つになったオールインワンのモイスチャライザーなどがそろう。水溶性ミネラルと、ビタミン、アミノ酸、多糖類が豊富で肌に優しく、保水力が落ちた中高年の肌に良さそうだ。食材で作った化粧品は安心だ。オーガニック大国ドイツでは「食べられない化粧品は作らない」というキャッチフレーズを持つオーガニック化粧品が有名だ。
お次は群馬県。
世界遺産となった富岡製糸場のおひざ元、富岡のシルクを使った化粧せっけん「ソワンココン キレイ」は、高品質の富岡産のシルクとツバメの巣を配合したアンチエイジングせっけんだ。合理的な機械練り法ではなく、枠練り法という、釜の中に原料を仕込んで加熱し、上層にできた溶融せっけん(ニートソープ)を取り出す、昔ながらの製法だ。シルクの成分が、弾力性のあるクリーミーな泡立ちとなり、洗い上がりもしっとりする。
岐阜県にも注目したい。
麦飯石をご存じだろうか。花崗(かこう)斑岩という岩石の一種で、岐阜県はこの石の産地でもある。中国では3千年ほど前から万病に効く「薬石」と呼ばれ、薬学書「本草綱目」では、漢方薬よりも上にランクされ、効能が高いと記されている。ミネラルを豊富に含み、不純物を吸着する効果が期待できる。これを素材とした化粧品が「ディケム」。麦飯石を粉状にして配合したせっけん、シャンプー、パックなどを作った。
化粧品の販売元「アルファ・ハウス」を経営する山西裕子さんが開発秘話を語る。
「18年前、叔父から唐突に麦飯石をもらったんです。すごいものだから何かに使え、と。せっかくだから『せっけん作りキット』を買って台所で麦飯石を粉にしてオリーブオイルなどを混ぜながら、自己流で作ってみたんです(笑)」
完成品を友人らに配ったところ、「長年悩んでいた頭皮のかゆみが改善した」などと、好評を博した。そこで100軒以上に電話をして、せっけんを作ってくれる工場を探したという。