今井さんの手の爪には、いつも土がついている。ジャケットの胸元に添えるのはもちろん、いちごのブローチだ。1本(360ミリリットル)税別6千円と価格は高めだが、腸内環境ブームなどの追い風もあり、「美容と健康のためなら」と購入する女性たちの口コミが広がり、長野県軽井沢町で「いちごの約束」だけを飲む断食1泊イベントが開催されたこともある。

 希釈飲料だが原液で飲む人もいる。甘みは強いがエネルギーが高まるのを実感できると評判だ。現在は、奈良県の薬草「ヤマトトウキ」を使った新商品を開発中。来年1月には高知県の四万十川上流地域で栽培されたショウガを使った新商品を販売する予定だ。

 九州は温泉もあり土地は広大。水にも気候にも恵まれ、野菜や果物がおいしいように、化粧品も肌に“おいしい”のだ。宮崎県では国内流通量が1%しかないと言われる国産ライチを使ったボディークリーム「楊貴妃ライチ」、鹿児島県はオクラ種子エキス配合の濃密美容泡マスク「ルナリウム」、というように。本県の山鹿温泉の天然温泉美容水「IZUMI」は、運営するホテルの宿泊客のこんな声から生まれたという。

「毎日温泉を浴びたい。スタッフの肌がキレイだから」

 宿には自家泉源があり、湯量は豊富だった。仕上がった美容水はかけ流しの湯を浴びるような使用感で保湿力に優れる。この商品を求めて片道2時間かけて買いに来る人もいるという。まさに、地方で眠る優秀商品の典型だろう。

 さて、前述の「ジャパンメイド・ビューティアワード」だが、全国の魅力ある美容アイテムの発掘を目的に、美容と健康の業界紙「Diet&Beauty」を発行するUBMメディアが始めた。今年で3回目。百貨店のバイヤーなど美容業界の目利きたちが「忙しい合間を縫って熱心に審査に協力してくれたんです」(UBMメディアの江渕敦さん)。今年から審査員に加わった「ヘルスケア・ビジネスナレッジ」社長の西根英一さんは言う。

「コンセプトで作れるものは製品まで。『製品』を『商品』にするのが難しい。商品に情緒的な価値をどうつけるかが大事です」

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