さらに活動を通じ、生活支援を担う町の人とのつながりもできるので、いざ自分が助けて!となったとき、見知った人に相談できるとっかかりができて、安心だ。相談相手として最も身近な存在は、地域に在住している民生委員。「日常生活の困りごとについて相談すれば、専門の機関、たとえば市区町村、福祉事務所などへつないでくれます」と七尾ひろ子氏(25年の経験を持つ介護福祉士)。どこに何を相談して良いかわからないときに、頼りになる存在だ。
高齢者の生活の困りごとのよろず相談所として地元の地域包括支援センターもある。
「ここに所属している社会福祉士や保健師などが健康、介護予防、介護保険サービスが必要になったときの申請代行、生活支援、消費者被害についての総合相談にも乗ってくれます」(前出の七尾氏)
近所の「趣味の会」に入るのもいいだろう。
複数の人たちと楽しむ趣味、たとえば、コーラス、歩こう会などに参加すれば、共通の話題を持つ仲間をつくる機会が得られる。とりわけ自分より若い世代の仲間をつくることが大切。若い人を通して新しい事象に触れることで、刺激を受け気持ちも若やぐ。
喫茶店、食堂、居酒屋などなじみの店をつくる方法も。NPOが主催するコミュニティーカフェも。小店なら、週1回も通えば、店主や他の常連客と顔なじみになれる。世間話から始まって、互いの自宅を行き来する仲に発展することも期待したい。
「人付き合いは、外出の機会促進策でもあります。運動にもつながり、老化防止には効果的です」(前出の高田教授)
■第2の習慣「運動」1日8千歩で体力維持
体力水準、健康水準を反映するのは歩行能力。歩行能力を維持すれば、病気、寝たきり、認知症などの予防につながり、自宅暮らしが長く続けられる、ということが青柳幸利氏(東京都健康長寿医療センター研究所)の中之条研究により実証されている。
この研究は群馬県中之条町の65歳以上の認知症、寝たきりになっていない人5千人の1日24時間の生活を15年間追跡調査し、高齢者の体力・健康の要因を分析したものだ。その結果、「1日8千歩そのうち速歩20分」の運動を習慣化すれば、体力・健康の維持ができることがわかった。