それは、「人付き合い」「家事」「運動」の三つの習慣だ。

「人付き合い」を失うと、生きる張りをなくし、生活は硬直化する。必要なときに人の助けが得られない。

「家事」ができなくなれば、日々の暮らしは成り立たなくなる。「運動」により足腰の衰えを食い止めなければ、家事も人付き合いもできなくなる。

「人付き合い」「家事」「運動」はこのようにつながっており、どれか一つが欠けてもだめ、三位一体での習慣形成が鉄則だ。

■第1の習慣「人付き合い」
 老化第1段階の退職で仕事関係の付き合いがなくなる。第2段階に入り遠出ができなくなって友人関係が疎遠に、そのうち死亡通知が。そして同居していた伴侶の死と、次々に人付き合いが消失していく。最後に残るのは、遠くの子より近くの隣人たちだ。

 ご近所さんとの人付き合いを習慣化する方法を提案しよう。

 まず、「地域住民福祉活動」といったボランティアに参加してみる。高齢者を対象とした主な地域住民福祉活動は、食事サービス、見守り、訪問活動、交流の場づくり、車椅子などの移動の補助など。こうした活動を通して仲間をつくる。また被支援者に自分を重ねることで、老いの先取り体験ができる。自宅で暮らし続けるために、いずれ受ける可能性のある支援についても予習ができる。町内の自治体活動をするのも良い。

 京都美術工芸大学の高田光雄教授はこうアドバイスする。

「日頃から利用できる生活支援サービスを知っておくことは重要です。そうすれば、生活不安から慌てて高齢者施設などへ入居し後悔する、といったことはありません」

 ちなみに東京都港区を例にあげ、一人暮らし高齢者等が利用できる主な生活サービスをあげておこう。

 ゴミ屋敷化を防止するための「ごみの戸別訪問収集」「粗大ごみの運び出し収集」。料理片付け、掃除が一時的に無理になったときの、「家事援助」「配食サービス」。まさかの時に誰も助けてくれる人がそばにいないという、最大の不安を解消する「緊急通報システム」「緊急一時介護人派遣」など。利用者負担は無料~数百円とさほど高くない。他の自治体も同じような支援を提供している。民間の支援サービスも増えている。家事全般から庭仕事、大工仕事まで、日常生活にかかわる代行業務を引き受ける便利屋、家事代行業者、食事を自宅へ届けるサービスや宅配業者による安否確認、タクシー会社による高齢者移送サービスなど多岐にわたっている。

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