回転ジャンプする浅田真央(c)朝日新聞社
回転ジャンプする浅田真央(c)朝日新聞社
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 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんは、浅田真央さんがスターとして愛された理由を分析する。

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 何より真央さんはサービス精神の塊。だからこそ国民の期待にちゃんと向き合い、そこに悦びを見いだし、良いバランスでパフォーマンスに活かせたのではないでしょうか。

 特に最後の方は、ジャンプ、とりわけトリプルアクセルにこだわりました。それは、体から勝手に迸(ほとばし)る『自分の意志』に極めて純粋に従ったまでのこと。周囲からのプレッシャーが強いときほど、目標のある人ならば、純度の高い「やりたいこと」がおのずと現れてくるのだと思います。

 そのように貫き進む姿に、世間は「浅田真央らしさ」を見いだし、「負けないでがんばる」という人間誰しもが抱きたい願望を真央さんに重ね、やがて依存した。本人は意識していたのか、無意識のなせる業だったのか、真央さんは観ている側が常に心安く気持ちを寄せられる存在でした。そして彼女は期待を裏切らなかった。すべてを自分の力に変え、観ている人にも力を与えた。だからスターなのでしょうね。

週刊朝日 2017年11月10日号