値段や店の雰囲気、デザインなどを分析し、業界での「立ち位置」を示したのがチャートだ。コスパが高いところや、伝統的な立ち食いそばの雰囲気を楽しめるところが一目でわかる。「立ちそばに無縁な女子にもウケるスタイリッシュな店」や、「ハイクオリティーでお洒落」な店もある。

 なかでも注目は、江戸時代から続く老舗かつお節問屋が手掛ける「そばよし」だ。かつお節粉で作る「おかかごはん」も名物になっている。

「老舗の料亭にも卸しているようなかつお節屋さんだからこそできる濃厚で絶品のつゆ。自家製の江戸前の細麺、それに合うように塩梅(あんばい)された種物。季節限定メニューは江戸っ子の粋が詰まっています」(イトウさん)

 西新橋の「そば処港屋」のように、長い行列ができる人気店もある。モダンな店構えで、従来のそばの概念を変えるラー油のきいたつけ汁のそばを出す。この店の登場をきっかけに、インスパイア店が続々誕生した。

 京王線・JR南武線の分倍河原(ぶばいがわら)駅近くの「Always SO‐BA」は、コンクリート打ちっぱなしの外観で、茶室をイメージした入り口。男性の望むカッコイイと、女性の望むカワイイをうまく折衷しているという。

 天ぷらを堪能したい人は、水道橋の「とんがらし」に行くべきだ。

「イカやエビ、なすの天ぷらの『もりあわせそば』が評判です。ボリュームもあるので、おなかいっぱい食べたい方はぜひ」(同)

 機械を導入しつつ、手打ちそばに負けないクオリティーの「あきば」も外せない。

 チャートで「新ジャンル」となっている「そば助」は、しょうゆを使わない“究極の塩だし”で勝負している。

 ほかにも、細麺の田舎そばでインドカレーも名物の「よもだそば」。「がんぎ」の、へぎそばだからこそののど越し、歯切れの良さも魅力的だ。「みとう庵」の、職人さんによる包丁仕事の、角が立ったそばも捨てがたい。

 立ち食いそばについて語りだせば、尽きないものだ。そばがのびるといけないので、今回はここまで。後はみなさんが25全てを制覇し、自分の中の「ランキング」を決めてほしい。(本誌・太田サトル)

《厳選25 オススメの立ち食いそば》
■名代富士そば
出店場所のセンスの良さは業界でも評判。グルメ感を表に出さないが、実は素材にもこだわる。各店の店長によるオリジナルメニューも魅力。店内のBGMは社長の作詞による演歌。首都圏中心に120店以上(海外店舗もある)

■ゆで太郎
自家製麺(そば粉55%と小麦粉45%の割合)の美味しさが自慢。全国展開している。椅子席も増え、女性の利用者も増えた。汁そばには「ゆずパウダー」を振るのがおすすめ。全国に約200店

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