妻:それまでの番組が終わって、次に「ルックルックこんにちは」に抜擢(ばってき)されたのはいいけれど、すでに先輩リポーターが30人くらいいて、なかなか這い上がれない、とかね。

夫:実績も人脈もないから、声がかからないんですよ。

妻:「悔しい」「悔しい」って言って。そんなの外では言えないから、全て私が引き受けた。彼は英語力を生かしたがっていたけれど、それも「自分でアピールしてはダメ。周りが気づくまで辛抱して」って。

――そんな妻の内助の功が夫の運勢を開いた。

妻:97年だったかな、私が仕事先で、彼の先輩で第一線で活躍していたリポーターさんに偶然会ったんです。思わず駆け寄って「阿部祐二の妻です。うちの人、あなたをすごく尊敬しています!」とあいさつした。

夫:そこからガラッと状況が変わりました。リポーターの世界で居場所ができたというか、いやすくなったんです。なぜかスクープを取ることも多かった。まあそれでもこの世界は、周りはみんな敵。その後もさんざん中傷や批判をされましたけどね。

妻:あの台風リポートへの批判はすごかったね。「暴風で立っていられなかったのに、カメラが止まった瞬間、スタスタ歩き出した」と批判された。たまたま突風がやんだだけなのに。

夫:「うそつき」「やらせ」「誇張」とたたかれた。

妻:でも07年、「スッキリ」に出演したころから、ようやく見通しが明るくなってきたよね。

夫:僕もやっと自分に自信がついてきたんです。特に6年前からは完全に開きなおりました。

――11年3月11日の東日本大震災発生の13時間前、夫は交通事故にあった。

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