先日、文科省が東京23区内の私立大学に対し18年以降の入学定員増を認めないことを決めたとの報道があった。すでに入学定員厳格化は始まっており、進学塾関係者は「私立中高一貫校が軒並み早慶GMARCHの合格者を減らしている。都内の私大の難易度が上がるのは目に見えており、付属に行っておいたほうがいいと思う人が増える可能性もある」と指摘する。
10年に横浜山手女子中学校・高等学校から改称された中央大附横浜(神奈川)は、「今や超人気校」になったという。
最近は女子の共学人気が目立っている。
加速する共学化の動きが示すように共学志向は根強く、千葉の市川や東邦大付東邦、埼玉の開智や栄東、東京の広尾学園も難関校になったという。広尾学園は2年目を迎えた東大の推薦入試で2人、京大の特色入試で2人の合格者を出したことでも注目を集めた。
内部進学を保険にしつつ、本人の意思があれば学校側のサポートを受けながら外部の受験もできる付属は魅力的なのかもしれない。
中学受験と違い、将来のことをある程度具体的に描いた上で受験校を選ぶ高校受験。進学校か大学付属校か、その点もより明確になってくる。
進学校で顕著なのが公立校の人気だ。東京都教育委員会が01年に都立日比谷などを進学指導重点校に指定し、都立高改革に乗り出したことが実を結び、この何年かは合格実績も安定している。
中学入試と同じように男子の2トップは筑波大附駒場と開成。だが、公立トップ校との併願に成功した場合に公立校を選択する子もいるという。都立なら日比谷、千葉なら県立千葉、埼玉なら県立浦和といった旧制一中の名門校だ。
進学塾の関係者は、その理由を「すでにできている中学からの集団の中に後から合流するよりは、ヨーイドンで一斉に始められるほうがいいという考え方がある」。文武両道のイメージも強く、現役合格にこだわらなければ学費の安さもポイントだ。
かつては国立付属と私立にターゲットを絞っていた進学塾も、公立トップ校の志望者を重要視して力を入れ始めており、公立復権への道はこの先も続いていきそうだ。(ライター・小林幸帆)
※週刊朝日 2017年9月29日号