度重なるケガで本調子の出ないプロゴルファー・丸山茂樹氏。2月の手術から今もまだベストには遠いと嘆く。

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「長嶋茂雄招待セガサミーカップゴルフトーナメント」(7月6~9日、北海道・ザ・ノースカントリーGC)のテレビ解説をするため、北海道に来ています。締め切りの関係で、この試合の結果は来週号でお知らせしますね。

 今回は2月に手術した左手の状態が上がらず、プレーはできないのが残念です。ゴルフができるようにはなってるんですけど、ベースボールグリップなんです。こっちで3日連続でベースボールグリップでラウンドしましたけど、それでもまだ痛みがあるので、普通の握り方はできないですね。もう、子どものころのスコアに戻った感じで、いつになったらアンダーパーのゴルフができるのかな、と。

 いまはゴルフ場で僕を見かけて、プレーを見に来られるのがつらい。期待に応えられないんで。打ったら、「あれ、どうしたの?」ってなりますから。遠目から見たら、誰も気づかないです。僕がベースボールグリップでゴルフしてるなんて。でも、辛抱するしかないですからね。

 日本ゴルフツアー機構(JGTO)はこのほど、「セガサミーカップ」以降の男子ツアー4試合の練習ラウンドで、選手が短パンを着用するのを認めると発表しました。JGTOは「昨今の地球温暖化を考慮した」と理由を説明しています。すでにヨーロピアンツアーでは採用されてますけど、ゴルフの窮屈さを少しでも取り払いたいということと、気候の問題なんでしょうね。練習ラウンドだけでも、選手にとっては助かると思いますよ。

 僕が20代のころは試合数も多かったので、8月は思い切ってお休みさせてもらってました。猛暑の中での試合に出ず、秋に向けてパワーを温存したかったんです。9月になっても暑さは残ってるんで、傘に扇風機をつけたり、コールドスプレーを頭にぶっかけたりね。いろんなことをやりました。

 
 コールドスプレーってのは、プロ野球選手がデッドボールを受けたときなんかに、患部にシャーッとかけるやつです。あれをティーショットの前にブワーッと頭にかけるんです。すごい気持ちいいですよ。一瞬ですっきりします。あれを頭にかけると、髪が一瞬凍るんですよね。そうすると一気に体温が低くなって、また集中力が戻ってくる気がするんです。

 話は変わりますが、将棋藤井聡太四段(14)がプロ30戦目で初めて負けちゃいましたね。相手の佐々木勇気五段(22)は下準備ができてましたよね。藤井君の対局にも足を運んでたっていうじゃないですか。過去の29戦も徹底的に研究したんでしょうね。癖とか好みとか。それをやった末にやっつけたんでしょう。あの藤井君が途中で「これはやられた」みたいな表情しましたもんね。

 藤井君が出てきたことで注目されて、棋士には結構個性的な方が多いって分かりました。ワイドショーでオヤジギャグを連発する人や、カツラをかぶって占いする人とか。面白い人がいっぱいで、これまでとは違う見方ができましたね。

 藤井君が負けた対局も約11時間半かかったんですよ。集中力とかメンタルが大事だし、ある意味、格闘技だなと思いましたね。すごい世界なんだというのを改めて感じさせられました。

週刊朝日 2017年7月21日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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