「抑肝散は認知症の周辺症状にも有効な薬。これらの漢方薬を服用していると、同じトラブルや問題があってもイライラを感じにくくなったり、感情が高ぶらなくなったりしてきます。当院にも『服用を始めてからイライラしなくなった』という患者さんが少なくありません」(杵渕さん)

【4】プチうつ? 不安や不眠をとりさるには
<加味帰脾湯(かみきひとう)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)>
 仕事に対して、なんだかやる気が起きない、なんとなく不安──。そんなときも漢方薬が意外と有効だ。

「抗うつ薬を飲むほど症状が強くないけれど、どうも調子が良くない、気持ちが前向きにならない、不安で仕方ないというときは、漢方だけで治療を進めます」

 と杵渕さん。こうした症状は漢方の見方では、気が不足する“気虚(ききょ)”の病態の一つ。気を高めて元気をもたらす漢方薬は、加味帰脾湯だ。不安をとって、眠りを深くするという生薬などが含まれている。半夏厚朴湯を使うこともあるそうだ。

【5】PCやスマホの長時間使用。つらい肩こり・目の疲れ解消に
<葛根湯(かっこんとう)、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)>
 パソコンなしでは仕事にならない現代。携帯できるタブレット端末やスマートフォンの普及もあって、VDT(Visual Display Terminal)症候群の症状で悩む人は増えるばかりだ。VDT症候群とはディスプレーやキーボードの長時間使用によって肩こりや首こり、眼精疲労、頭痛などの症状が出ることを言う。

「こんな現代病でも、漢方薬で対応することが可能」と今津さんは言う。

「古くから胸から上がこり固まる病気には、風邪の初期に飲む葛根湯が有効です。これも即効性があるので、服用して10~20分ぐらいで効いてきます。湿布や塗り薬もいいですが、一度、試してほしいと思います」

 肩こりや眼精疲労の最大の原因は、同じ動作をずっと続けることによる、血行不良。ストレッチなども有効だが、葛根湯は体の中から血行を促してくれる。

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