体内リズムが前に進みやすいシニアでは、「体内リズムを遅らせる」効果を利用。三島さんは、睡眠に悩むシニア世代に提案する。

「散歩は朝ではなく、夕方以降に。その時間帯の太陽光を浴びることが大事。夜はむしろ部屋を明るくするといいでしょう」

 睡眠を妨げるとされるブルーライトを出すスマホやパソコンも、体内リズムを遅らせるという役割からすると、むしろ控えなくてもよいそうだ。

【3】深い睡眠を得るには昼間の活動が大事
 先に述べたとおり、加齢で睡眠時間が短くなるのは自然なこと。ならば長く寝ようとするのは諦めて、睡眠の質を高めることを考えたほうがよさそうだ。

「シニア世代の睡眠で大事なのは、“日中ちゃんと活動ができているかどうか”です」(櫻井さん)

 昼間をどう過ごすかが重要で、寝るのも忘れて何かに没頭するような生活のほうが、望ましいという。

 眠りと心の不調を専門とする、すなおクリニック(さいたま市)院長の内田直(すなお)さんは、患者に日中の活動量を上げることを勧めている。睡眠薬を使っても眠れないと訴える高齢患者も、昼間の活動量を増やすことで夜の眠りが誘導され、睡眠薬を減らすことができているそうだ。

「日がな一日テレビを見て、ダラダラしているのは、絶対にダメ。散歩でもいいので体を動かすことが大切です。気分もスッキリしますし、心地よい疲労感が出るので、眠りやすく、眠りも深くなります」(内田さん)

【4】半身浴で脳を温め、一気に冷やすと熟睡が得られる
 現代科学で眠りを促す作用がわかっている方法は、入浴。三島さんは入浴と睡眠脳波の関係を調べたことがある。風呂に入って汗を流すと、寝つきまでの時間が短く、深い睡眠をもたらすことがわかった。

「その理由は、脳内の温度が急激に下がるためだと考えられています。入浴すると脳の温度が上がるため、その分、風呂から上がると脳の温度が一気に下がる。それが睡眠の質を高めるのです」(三島さん)

 ちなみに、入浴はぬるめの半身浴が勧められる。

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