プロゴルファーの丸山茂樹氏が、10年ぶりにマスターズ出場を決めた谷原秀人選手について思い出を交えて語る。

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 今回はまず、おわびからです。3月27日に予定していた「第13回丸山茂樹ジュニアファンデーションゴルフ大会」が大雪のために中止となりました。3月下旬の千葉なのに、ゴルフボールより大きな塊の雪が降ってて……。出場を楽しみにしてた子どもたちには、本当に申し訳ありませんでした。これからもマルジュニアを頑張っていこうと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

 さて、うれしいニュースがアメリカから飛び込んで来ましたね。谷原秀人(38)が滑り込みで「マスターズ」(4月6~9日、米ジョージア州オーガスタのオーガスタ・ナショナルGC)出場を決めました!

 米PGAツアーの「WGCデルテクノロジーズ マッチプレー」(3月22~26日、米テキサス州オースティンのオースティンCC)で4位に入って54万5千ドルの賞金を獲得、3月26日発表の世界ランキングで前週の60位から48位となりました。この週のランクで世界50位以内という資格で、谷原自身10年ぶりのマスターズ出場を決めたんです。

 上位に食い込まないとマスターズはないという土壇場で、しかも世界のトップが集まったマッチプレーですから。初日に予選第1戦でジョーダン・スピース(米)にも勝ちましたからね。ここで力を出しきれたのは、本人も自信になったんじゃないでしょうか。

 
 今年の谷原は1月のハワイに始まって、シンガポール、ミャンマー、オーストラリア、メキシコと転戦してきました。そして38歳で10年ぶりのマスターズですからね。こんなうれしいことってなかなかないし、すごくいいモチベーションでオーガスタへ行けますね。

 彼は2005年に米ツアーへ本格参戦しました。けがもあって、そのシーズン途中で帰国するんですけど、当時は僕もアメリカにいましたので、毎週のように一緒に食事に行ってましたね。「アプローチがまったく手に負えないんです」って言ってた時期でね。予選落ちしたあとに、僕のプレーをギャラリーとして見に来たなんてこともありました。非常に探究心の強い選手なんです。

 いまはもうアプローチ、パターは日本ツアーで群を抜いてうまいですよね。努力家なんで、体を鍛えるトレーニングも練習もすごくやりますし、そういう選手だからこそ結果が残せるってのはありますよね。谷原にとってすばらしいマスターズになるよう願ってます。

 日本の女子ツアーでは川岸史果さん(22)が「アクサレディス in MIYAZAKI」(3月24~26日、宮崎・UMKCC)で3位に入りました。2位だった開幕戦に続いて最終日最終組で回ったんですが、一歩届かず。父の川岸良兼先輩(50)も観戦して、「もう見てられない」なんておっしゃったみたいです。

 まあ、こういうことの繰り返しですから。繰り返すことで優勝争いとはどんなものかを知って、勝利をつかむというか。それでも、やっぱり早く勝たないといけないです。こういうパターンが続きすぎると、逆に「また勝てないんじゃないか」という意識が生まれてきてしまいますから。とにかく、早く1勝したいですよね。

週刊朝日 2017年4月14日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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