慶應義塾大のキャンパス (c)朝日新聞社
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 この10年間で進学実績が伸びた高校はどこか。それを見るのに役立つのが、合格者数の伸びを過去と比べた増加数のランキングだ。私大の両雄・早稲田と慶應について分析すると、両大学ともにトップは、同一の県立高校だった。

 早慶ともに増加数1位となったのは、県立高校の横浜翠嵐(神奈川)。2017年と07年の合格者数を比べると、早大で79人、慶大で93人も増えた。

 躍進のきっかけは、07年に神奈川県教育委員会から「学力向上進学重点校」に指定されたこと。土曜講習や長期休暇中の講習、全国模試の導入、進路集会や保護者向け進路説明会などの組織的な学習指導、進路指導に取り組み、生活習慣と学習習慣を1年次より確立することで、確かな学力がついてきたという。

 荒川宏教頭はこう話す。

「難関国立大をめざす生徒が多く、国公立大の合格者数が10年前よりかなり増えています。このため、併願先となる早慶の合格者も増えたと思います。第1志望の国立大に不合格だった場合、浪人して再挑戦する生徒と早慶に進学する生徒がほぼ半々ぐらいですね」

 実際、同校は東大合格者数も07年の4人から17年の34人へと増えた。公立高校のなかでは、日比谷(東京)、旭丘(愛知)に次いで人数が多い。

 駿台進学情報センター長の石原賢一さんは「東大受験生は早慶を併願することが多いため、早慶と東大の合格者数の上位校はかなり重なります」と話す。

 17年の早慶の合格者数をみると、トップはともに開成(東京)。東大合格者数36年連続1位の同校は、早慶でも強い。東大合格者の上位10校をみると、灘(兵庫)と栄光学園(神奈川)以外の8校は、早慶の両方かいずれかで10位以内に入っている。

 増加数のランキングならではの上位となったのが、広尾学園(東京)。07年の合格者は早大1人、慶大ゼロだったが、17年は早大53人、慶大41人と急伸した。増加数は早大で6位、慶大で4位になる。

 早慶の合格者が伸びた高校の上位はすべて、東京、埼玉、神奈川、千葉の1都3県の学校。かつては全国から受験生が集うイメージだったが、早慶志向は地方よりも首都圏でより強まっているようだ。

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