国際学部の志願者数は移転前の14年度が約3千人だったが、移転効果もあって15年度は1.5倍の約4600人に急増した。17年度は約3900人に落ちているが、移転前の水準は今も上回っている。
愛知学院大は14年、日進市の日進キャンパスから商学部、経営学部、経済学部の2~4年次を、名古屋市中心部に移した。同大は地域連携センターを設け、行政や企業、地元商店街との結びつきを強めている。
街づくりや商品開発にともに取り組み、ホームページやSNSで活動成果の情報発信に力を入れている。センターの鵜飼宏成さんは「受験生がより明確な目的を持ち、志望することにつながっている」とみる。
国学院大は文学部、経済学部、法学部などの文系4学部の1年次を横浜市のたまプラーザキャンパスから都心の渋谷キャンパスに移した。10年の移転時は志願者数が増えたが、その後減少した。しかし、15年度以降は再び増加基調に戻っている。
同大学は志願者数維持の要因の一つとして、全学部生を対象にした「学生リアル調査」の存在を挙げる。
調査結果から浮かび上がった課題に対し、できるだけ早く対応して学習環境の改善を進めているという。例えば、「学食の混雑を緩和してほしい」という声が学生から数多く寄せられたことを受け、キッチンカーを使った昼食販売を始めたという。
同大の中村大介さんは「調査結果を受けた改善の取り組みは、学生に好評のようです。今はSNSの時代ですから、学生の口コミなどから評判が広まります。こうした点も、志願者増につながっているのではないでしょうか」と話す。
入試制度改革、教育内容の充実、設備の改善、キャンパスの移転……。学生の心をつかむための大学の苦心が続く。(本誌・吉崎洋夫)
※週刊朝日 2017年3月24日号