![写真家の小暮徹さん(右)とイラストレーターの、こぐれひでこさん夫妻(撮影/写真部・小暮誠)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/3/c/620mw/img_3c0f31434af002afbe6f488705b28d3497807.jpg)
イラストレーターの妻・こぐれひでこさんと、写真家の夫・小暮徹さんのお二人。大学時代に知り合い結婚して51年。いまも夫婦円満だが、その秘訣はどこにあるのだろう?
夫は写真、妻は洋服のデザインのために渡ったパリで、その後の人生を決める転機を迎えたという。そして……。
* * *
1971年から4年のパリ暮らしを経て75年に妻は日本に戻ることを決める。夫は1年遅れて、76年に帰国。フリーのカメラマンとして雑誌や広告の世界で活躍するようになる。
妻:私が「もうそろそろ飽きちゃったな。帰ろうかな」って言ったら、徹くんは「オレはまだいる」って。「そう。じゃあね」って私は先に日本に帰って、デザイナー兼オーナーとして洋服の会社を始めたんです。
夫:うちはいつもそういう感じです。別に仲が悪くなったわけじゃなく、それぞれやりたいことがあるだけ。僕はもう1年パリで写真をやりたかった。
妻:日本とパリで1年間、手紙のやりとりをしてたね。最終的に徹くんが帰ってきたのは……私が先に帰ってたからだよね。
夫:そうかな(笑)。
妻:そのときは「くっつく」ときだった。「二人で一緒に育っていこう」と思えたからだと思います。
妻:洋服の会社は10年続けたけど、85年にやめたんです。借金があったとかではないけど、あんまりもうからないし、ここで区切りをつけようと全部やめました。
夫:オレが「流行通信」でバンバン仕事してたころだ。
妻:そう、そちらは売れっ子でしたよ。徹くんの仕事はそんなに浮き沈みなかったよね。
夫:まあね。ほぼ順調に終われそうな感じになってきた。写真家なんて人気商売だから、人気があれば仕事が来るし、なくなったらじっとしてるだけだし。
妻:徹くんは何事にもあまり動じないというか、淡々としてる。
夫:僕の仕事ってね、クライアントがあっての仕事だし、「絶対にこうしなきゃ!」とかいう思いはそんなにない。うまくいかないときがあっても「捨てる神あれば……」で、拾う神がたまに来てくれる。拾われたときにうまくいけば、次に続いていくんです。