健康のために1日1万歩を目標とする人も多いが… (※写真はイメージ)
健康のために1日1万歩を目標とする人も多いが… (※写真はイメージ)
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 健康になるからと、日課に取り入れる人も多いウォーキング。しかし、歩き方を間違えると、効果は望めないどころか、逆に健康を害することもあるという。あなたのウォーキングはそれで本当に大丈夫? 科学的に「常識」「通説」のウソ、ホントを確かめた。

■「1日1万歩」は歩きすぎ

 まずはウォーキングの代表的な“健康目安”とされる「1日1万歩」という指標。健康スローガンとして厚生労働省が大々的に掲げ、これまで多くの人が信じて疑わなかった。

 だが、ウォーキングに関する研究を進める青柳幸利さん(東京都健康長寿医療センター研究所)によれば、1日1万歩という指標は「逆に寿命を縮める危険性がある」という。

「1万歩は万人に共通する目安とは言えません。個々人で体力も筋力も違いますから、その人に合った歩数(運動量)の目安も異なります」(青柳さん)

 青柳さんは、1日の歩数の一つの目安を「8千歩」と設定し、推奨している。

「5千人を対象に15年間にわたって行った調査結果から明らかになりました。意識的に時間を設けて歩くのも必要ですが、例えば家事や買い物などで歩いた分もカウントして構わない。むしろ、一日の中で分散して歩くほうが健康には良いのです」(同)

“歩けば歩くほど良い”という思い込みについて、青柳さんはこう説明する。

「実は運動のしすぎは、健康効果がないどころか、免疫の低下につながることもあります。スポーツ選手は風邪をひきやすいなどといわれますが、これは“体力=免疫力”ではないということ。筋肉を使った激しい運動をすれば、健康度も上がるという認識は間違っています」

 根底から覆される「1日1万歩」の目安。まず、筋力の状態を把握した上で、歩数を調整したほうがいい。筋力の状態を知る目安となるのが歩行テストの標準値だ。標準値よりも歩く速度が遅ければ、筋力が弱く、速ければ年齢、性別の割には筋力があると考えればいい。

「例えば65~69歳男性の場合、5メートルを歩くのに、普段歩くスピードで5秒以上、速歩きで3.1秒以上かかるなら、筋力がやや弱い。1日8千歩でも多いでしょう」(同)

 歩き終わった後や翌日に疲れが残る感覚があれば、それはやりすぎだ。

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