「消費カロリーが同じでも、体重40キロと80キロの人では脂肪燃焼量が違うので意味合いがまったく変わる。消費カロリーの目安は、体重、身長、年齢によって異なります。つまりカロリーは個体差を無視した絶対値。健康を考える指標としては、実用性に欠ける」(青柳さん)
個々人によって、消費カロリーの適正値は異なる。そのため、それを指標とするには、活動量計などを用いて自分の身体データと掛け合わせた計算が必要になってくるのだという。
「消費カロリーを目安にしている人はウォーキングが長続きしにくい。カロリーを意識するよりは、筋力や持久力をアップさせるウォーキングのやり方を取り入れるほうがよっぽど健康に良い」(同)
消費カロリーにとらわれすぎると、本末転倒になりかねない。
■朝のウォーキングは危険
多くの人が日課として取り入れている朝のウォーキング。実は起きて1時間以内は、一日の中で歩くのに最も危険な時間帯だという。前出の青柳さんはこう説明する。
「人は夜寝ている間、体温調節のために約500ミリリットルの汗をかきます。だから朝起きたとき、人の体は水分がカラカラで、血液がドロドロ。この状態でウォーキングをすれば、心疾患や脳卒中につながる危険性があるのです」
朝起きて、水を飲んでからであっても危ない。水分が体に吸収されるまで、最低でも20分ほどかかるのだ。
「そうした意味で、起床して1時間以内のウォーキングは避けるべきです」(青柳さん)
逆に一日の中で歩くのに最も効果的な時間帯は、人間の体温がいちばん上がる夕方4~6時だという。
「特に夕方に速歩きをすれば、筋肉に刺激が与えられ、血液のめぐりも良くなります。これによって就寝時の体温が高くなり、快眠にもつながりやすい」(同)
健康のためには「朝より夕方」。朝歩きたいならば、今よりも1時間前の早起きが必要だ。
※週刊朝日 2016年10月21日号より抜粋