ルックスは整った顔立ちの二枚目。歌舞伎の女形になっても不思議はないと思わせるほどだが、個人総合での内村とのワンツーも夢ではない。

 そして知名度ならば今や内村と首位を争うのが「ひねり王子」こと、白井健三(19)。今回の5人の代表の中で、唯一の初出場だ。

 両親が体操教室を経営していた関係で、子どものころから遊び場に体操の器具があり、中でもお気に入りだったのがトランポリン。

「空中に跳ねるとき、人間は体幹に力を入れるものなんです。健三はトランポリンで遊んでいるうち、自然と体幹を鍛えていたんですね」(父・勝晃さん)

 その体幹の強さが、床運動でそれまで誰も成功させたことがなかった4回ひねりの成功につながり、その技には自らの名前が冠せられた(「シライ/グエン」が正式名称)。今回は床運動で頂点に最も近い選手だ。

 残るは田中佑典(26)と山室光史(27)のふたり。田中は姉の田中理恵に似て目がぱっちり。平行棒は世界レベルの演技内容を持っており、大いに期待できる。山室は力自慢でつり輪を得意としていて、5人の実力がハイレベルでせめぎあっている。

 リオで、この体操男子が最大の目標にしているのが団体での金。日本は2004年のアテネ五輪で28年ぶりに金メダルを奪還したが、北京、ロンドンと中国の後塵を拝した。ルックスと技を兼ね備えた「ドリームチーム」がいよいよリオの舞台に立つ。

週刊朝日 2016年8月12日号より抜粋