健康寿命を延ばすには、ただ歩けばいい?(※イメージ)
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 日本人の平均寿命(男性80.5歳、女性86.83歳)は延びたが、介護などを受けずに自立して日常生活を送れる「健康寿命」との差は約10年もある。つまり、この期間は介護などを受けて不自由な生活をしているというわけだ。厚生労働省によると健康寿命は男性で71.19歳、女性で74.21歳だ。

 死ぬまで健康であり続けるにはどうしたらいいのだろうか?

「健康寿命を延ばすには、ただ歩けばいいんです。シニアでは、走ったり強い運動をしたりする必要はありません。強い運動はかえって健康を損なうこともあります。1日8千歩、そのうち早歩き20分間が目標です。これが難しい人は5千歩、7.5分をまずは目指して少しずつ増やしていってください。歩数と早歩きの時間によって、病気を防ぐことができます。毎日続けることが重要ですよ」

 こう話すのは、東京都健康長寿医療センター研究所老化制御研究チームの青柳幸利・副部長だ。

 青柳副部長は、群馬県中之条町の65歳以上の住民約5千人を15年間にわたり追跡調査した。その結果、歩数と早歩きの時間が、健康の状態や疾患と関連することがわかった。1日8千歩、早歩き20分以上の人は、健康状態がいいだけでなく、食事のバランスや生活リズムもよかった。

 1日1万歩・早歩き30分以上でメタボリックシンドロームの予防に、8千歩・20分以上で高血圧、糖尿病の予防に、7千歩・15分以上で骨粗鬆症(こつそしょうしょう)やがんの予防になる。一方で、1日4千歩・早歩き5分未満ではうつ状態や不眠になりやすく、それによってほかの病気になったり、寝たきりになったりする。

 ただ歩くだけ。それが案外難しいのだ。

「加齢に伴って足腰が弱くなると、信号を渡れない、といった経験をすることもありますよね。そうすると、外出を控えがちになる。また、退職や、夫や妻との死別といったライフイベントがあると、外出の頻度がぐっと落ちて、活動量が落ちる人も多いのです」(青柳副部長)

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