東京都新宿区のみうらさんの事務所に行くと、深キョン似のラブドールが足を組んで座っていた。白いノースリーブに網タイツ、巨乳だ。

「黒いブラとショーツは僕が女装(バンド)をした時のお下がり。ブレスレットは、リリー・フランキーさんからもらったもの(笑)」

 リリーさんとみうらさんは“ラブド”仲間だ。リリーさんが、乳頭や肛門の色まで選べる革新的なメーカーでラブドールを買うことになり、みうらさんは同行した。

「だけど僕には革新が向かなかった。それで正統派のメーカーに後日買いに行ったんです」

 その正統派美人、絵梨花は人生で2体目のドールだ。

「20年ほど前にhitomiという人形を初めて買いました。当時、周囲がステータスとして高級車などを買っていたので、自分は運転しないし何かないかなと考えているうちに、そうだ高級ダッチワイフだ、と思いついて(笑)」

 それは立ったままのソフトビニール製で“いかにも”な人形だったが、周囲にもウケて、自らも行為を楽しんだという。それから十数年、進化を遂げたラブドールをゲットしたわけだが、なぜか行為ができない。

「リアルすぎて、脳が、違うこれは人形だぞと抑制するみたい。超リアルなドールとしている人もいるというのに」

 なぜなのか、とみうらさんは考えあぐねた。

「うちはもっぱら来客の接待と僕の膝枕用。膝枕するとつまらない悩みも吹き飛ぶくらい気持ちいい。となると……僕はこの年になってドールに母性を求めていたのか!」

 一人っ子のみうらさんは、母親に何でもしてもらっていたのだとか。この先またドールが欲しいか、と尋ねると、「おなかのたるんだ熟女なら」と笑い、続けた。

「ラブドールと対峙すると自分がわかる。文化系か体育会系か。SかMか、どN(ノーマル)か。どんな恋愛を求めているのかもね」

 自分探しができる。それもラブドールの効力なのかもしれない。

週刊朝日 2016年3月11日号より抜粋

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