
週刊文春のスクープで、甘利明・前経済再生相が電撃辞任した。その疑惑とは、千葉県白井市にある建設会社「S」社の総務担当者I氏から総額1200万円にのぼる裏ガネの提供や飲食接待されたというものだ。
記者会見で甘利氏は、千葉県のS社総務担当のI氏ら告発者に嵌(は)められたかのように強調してみせた。
S社の社長から甘利事務所のA秘書に報道前後、連絡があり、「言ってくれれば絶対(記事を)止める。(略)内輪揉めでありもしないことを(文春に)Iが言ったと言えば済む話になる」と持ち掛けられたことを明かしたのだ。
S社が甘利事務所に現金攻勢を仕掛けた背景には、UR(都市再生機構)と道路整備をめぐる土地トラブルがあった。金銭授受の見返りに“口利き”を依頼したS社の社長とI氏は一体と見るのが自然だ。
一方で社長が記事の揉み消しを臭わすような口ぶりだが、その真意は何か。
S社の関係者が囁く。
「文春の直撃取材を受けたA秘書が、慌てて社長に泣きついたのです。I氏を止められるのは、社長しかいないからですが、工作はうまくいかなかった」
S社の社長の代理人を務める弁護士は、本誌に次のように語った。
「社長とI氏の関係はもう切れています。URとの補償交渉が続いているのに、文春で記事になってもS社は何の得にもならない。告発はI氏の勝手な行動であり、大変驚いています。甘利氏が電話の内容を会見で明かしたことに社長はいい感情を持っていませんが、お辞めになるような事態は本意ではなかった」
依然、身を隠したままの告発者、I氏はどのような人物なのか。